派遣で深夜労働手当、夜勤手当が貰えるのは何時から何時まで?
深夜労働手当とは
深夜労働手当は2割5分増しの割増賃金
派遣先での勤務時間が午後10時から午前5時の間にかかっている場合は、その時間帯では通常の労働時間、労働日での賃金に対して2割5分以上の割増賃金を支払わなければならないと労働基準法(労働基準法第37条3項)で定められています。
午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の勤務では25%以上の割増賃金の支払いが使用者には義務付けられているわけです。これを深夜労働手当といいます。
例えば派遣での時給が1000円だとした場合、午後10時から午前5時までの時給は1250円に、時給が2000円だとしたら午後10時から午後5時までの時給は2500円となります。
なぜ割増賃金が支払われるの?
本来人間の生体リズムでは朝起きて夜に寝るものですが、深夜労働の場合このリズムに反しているため、昼夜に働くよりも心身への負担も大きくなるといわれています。そこで深夜労働に割増賃金を設定して使用者への負担を大きくすることで、深夜労働の抑制につながることを期待しているわけです。
適用時間が1時間ずれる地域、期間は?
労働基準法第37条第4項の条文では、注意書きとして厚生労働大臣が認める場合には深夜労働手当が適用される時間が1時間ずれる地域や期間もあると記述されていますが、これはサマータイムを想定した処置です。
サマータイムとは夏時間として時計を1時間進めてすごすというものです。この制度はアメリカやカナダ、ヨーロッパ各国(一部を除く)でも現在でも採用されていますが、日本では1948年に始められたものの、1952年には廃止されています。
労働基準法がこの時期に作られたため、名残としてこの条文が残っていますが、実際にこの特例が適用された地域や期間は現在に至るまで一つもありません。
したがってこの一文は特に気にせず、深夜労働手当が適用されるのは午後10時から午前5時までと覚えておけば十分でしょう。
残業時間と重なったら
深夜労働が残業と重なった場合はどうなるでしょうか。この場合は深夜労働手当の25%増しにさらに時間外労働手当の25%増しが加算されて、合計で50%以上の割増賃金が支払われます。時間外労働手当とは法定労働時間である1日に8時間、または週40時間を越える勤務に対して通常の労働時間、労働日の賃金の2割5分以上の賃金が支払われるものです。詳しくは
派遣社員の残業時間と残業代(時間外労働手当)についてで解説しています。

例えば午後4時から深夜2時まで勤務したとします。この場合午後4時から午後10時までの6時間は通常の賃金が支払われます。午後10時から深夜0時までの2時間は深夜手当の25%ましの賃金が支払われます。深夜0時から深夜2時までの2時間は深夜手当にさらに時間外労働手当も加算されて、合計で50%増しの賃金が支払われることになります。
労働時間のケース | 割増率 |
深夜労働 | 125% |
深夜労働 + 時間外労働 | 150% |
深夜勤務が休日勤務と重なった場合は?
休日に出勤し、しかもその勤務時間が午後10時から午前5時にかかる場合は、その係る時間帯は休日労働手当の35%増しに深夜労働手当の25%増しが加算され、合計で60%増しの賃金を支払わなければなりません。
休日労働手当とは週1日、または4週間で4日間以上の設定することが定められている法定休日に出勤した場合に支払われる割増賃金です。通常の労働時間、労働日の賃金の3割5分増しの賃金の支払いが義務付けられています。休日労働手当については
派遣の休日出勤で休日労働手当(割増賃金)が貰える条件、土曜日は?でも詳しく解説しています。
労働時間のケース | 割増率 |
休日労働 | 135% |
休日労働 + 時間外労働 | 135% |
休日労働 + 深夜労働 | 160% |
暦日をまたいでの休日深夜労働は?
例えば休日の深夜労働が夜の12時を超えた場合、休日手当の扱いはどうなるのでしょうか。ある企業の法定休日は日曜で日曜の夜9時から深夜3時まで勤務したとします。この場合9時から10時までは休日手当が加算され、さらに10時から12時には休日手当に深夜労働手当が加算されます。しかしながら12時から3時までは休日手当は加算されず、深夜労働手当のみとなります。
労働時間 | 手当 | 割増率 |
21:00〜22:00 | 休日労働手当 | 135% |
22:00〜24:00 | 休日労働手当 + 深夜労働手当 | 160% |
24:00〜03:00 | 深夜労働手当 | 125% |
これは祝日というのは暦日単位(0時〜24時)で計算されるからです。この場合日曜の24時までは日曜扱いですが、24時以降は翌日の月曜日扱いとなります。これは土曜日に勤務した場合も同様です。土曜日の夜9時から深夜3時まで勤務した場合は夜9時から10時までは通常賃金で、10時から12時までは深夜手当が加算されます。深夜0時から3時は深夜手当に休日手当も加算されます。
労働時間 | 手当 | 割増率 |
21:00〜22:00 | なし | 100% |
22:00〜24:00 | 深夜労働手当 | 125% |
24:00〜03:00 | 休日労働手当 + 深夜労働手当 | 160% |
試用期間や研修期間中の割増賃金について
派遣先によっては試用期間や研修期間を設定している場合もあります。試用期間とは1〜6カ月の間働いてもらい、その間で勤務態度や能力、技能などを見て正式に採用するかどうかを判断するための期間です。
研修期間とは仕事の基礎を学ぶための期間です。研修期間は一般に数週間から1か月ぐらいが多いです。

労働基準法では試用期間でも研修期間でもその扱いは正社員と基本的には変わりません。また労働基準法でも試用期間、研修期間であることを理由に各種手当を不支給とするというような規定はありません。
したがって割増賃金である時間外労働手当てや休日手当、深夜労働手当ても当然貰う権利があります。詳しくは
派遣社員の試用期間、研修期間中でも深夜労働手当、休日手当、残業手当は貰えるの?で解説しています。
| 期間 | 目的 |
試用期間 | 1〜6カ月 | 勤務態度や能力・技能を判断するための期間 |
研修期間 | 数週間〜1カ月 | 仕事の基礎を学ぶ期間 |
勤務時間の端数の取り扱い
1分単位で集計する
例えば深夜労働や休日労働で3時間や4時間などきっかり時間単位で働いた場合は別ですが、3時間10分や4時間24分など端数が生じた場合は、勤務時間に対する賃金の取り扱いはどうなるのでしょうか。企業によっては15分単位、30分単位で集計するというケースも聞かれますが、基本は1分単位で集計しなければなりません。
15分、30分に満たない場合は0分にするなどのように勤務時間の切り捨てをすることは労働基準法に照らし合わせて問題があります。逆に10分間の勤務なら15分扱い、20分の勤務なら30分扱いなどのように時間を切り上げることは問題ありません。
1ヵ月単位なら切り捨てできる
ただし1か月の深夜労働時間や休日労働時間を集計して、その合計値に対しては30分未満は切り捨て、30分以上は切り上げることは認められています。勤務時間の端数の取り扱いについては
派遣の残業時間の15分・30分単位での計算と切り捨てについてで詳しく解説しています。
まとめ
深夜労働手当とは午後10時から午前5時までの勤務に対して支払われるもので、通常の賃金の2割5分増しの賃金が支払われます。深夜労働手当は時間外労働手当と重複して加算されます。時間外労働手当とは1日8時間、週40時間を超えて勤務する場合に支払われるもので、通常の賃金の2割5分増しの賃金が支払われます。これらが重複する場合は合計で5割増しの賃金が支払われます。
深夜労働手当は休日労働手当とも合算されます。休日労働手当とは法定休日である週1日の休日に出勤した場合に支払われるもので、通常の賃金の3割5分増しの賃金が支払われます。休日の夜間勤務の場合はこれらが合算され6割増しの賃金が支払われます。
この記事を書いた人

kain
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