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派遣の雇用安定措置とは?派遣先への直雇用は紹介手数料なしでも可能なのか?

はじめに

有期契約の派遣社員の場合、同一の組織単位での勤務は3年が限度です。3年を過ぎると別の職場で働かなければなりません。すぐに見つかればまだいいですが、見つからない可能性もあります。このように雇用が不安定な側面があることから、派遣会社は3年勤務した派遣社員には雇用安定措置をとることが義務付けられています。

そこで今回は雇用安定措置について詳しく取り上げ、さらにその一つである派遣先への直雇用の依頼に際して、派遣先は派遣会社に紹介手数料を支払う必要があるのかどうかについても詳しく見ていくことにします。







雇用安定措置を受ける条件

3年以上の同一組織単位での勤務者が対象

派遣社員への雇用安定措置とは、派遣社員が派遣先の同一の組織単位に3年勤務した場合に、派遣会社が実施することが義務付けられているものです。本来派遣とは臨時的・一時的なものであるため、派遣社員の雇用を安定化させるために、このような措置が義務付けられています。

ちなみに雇用安定措置は、勤務期間が1年以上3年未満の派遣社員にも実施に努めなれければならないという努力規定が課されています。


3年以上の勤務を希望の場合に

こうした雇用安定化措置は派遣労働者が3年を超えて働くことを希望した場合に、措置を講ずることが義務付けられています。

派遣期間と雇用安定措置の関係



雇用安定措置の内容は?

労働者派遣法第30条では雇用安定措置を次のように規定し、派遣会社は対象者に対して次のいずれかを措置を講ずることを義務付けています。

  • 派遣先への直接雇用の依頼
  • 新たな就業機会(派遣先)の提供
  • 派遣元事業主での無期雇用
  • 教育訓練やその他雇用安定をはかるための処置(紹介予定派遣の対象になることも含む)

ちなみに雇用安定措置として1を講じた場合に、直接雇用に至らなかったなら、2〜4の措置を講じなければなりません。



派遣社員はどの雇用安定措置にするか選べるのか?

派遣会社は4つのうちのいずれのか雇用安定措置の実施が義務付けられていますが、どれを選ぶかは派遣会社の裁量に任されています。ただし派遣社員に継続就業の希望を聞いた際に、直接雇用での雇用を希望していることを把握した場合には、直接雇用の依頼により直接雇用が実現するよう努めることとされています。

またその他の雇用安定措置に対しても、派遣労働者側の希望する雇用安定措置を講ずるよう努めることとされています。

つまり派遣社員側が雇用安定処置の内容を選ぶことはできませんが、継続就業を希望した際に把握した派遣社員の希望する雇用安定措置を講ずる努力義務はかされているわけです。



直接雇用の際に紹介手数料は支払わないといけないのか

直接雇用の際は紹介料が必要なの?

実際雇用安定措置により派遣先に直接雇用を依頼した際、派遣先は派遣会社への紹介手数料の支払いを理由に直接雇用を断るケースが見られます。派遣社員からすれば紹介手数料が理由で直接雇用を断られてしまうのはたまったものではありません。この紹介手数料ですが、本来支払う必要があるのでしょうか。


厚生労働省が紹介手数料を払う義務はないと明言

こうしたケースに関して厚生労働省は、2018年10月19日付けで発表した「改正労働者派遣法に関するQ&A」の中で回答しています。該当URLは以下になります。

(派遣で働く皆様へ)平成27年9月30日施行の改正労働者派遣法に関するQ&A

この中での回答によると、雇用安定措置の一つである「派遣先への直接雇用の依頼」は、職業安定法上の職業紹介ではないので、派遣先は同法上の職業紹介手数料を支払う義務はないとしています。また派遣先は、正当な理由なく、派遣先と派遣労働者の間の雇用契約を実質的に制限するような金銭については、支払う義務はないとも記載されています。


金銭の授受にはいくつか問題があり

こうした雇用促進措置に際しての直接雇用の依頼において、派遣会社と派遣先との間で金銭の授受の有無により、派遣先への直接雇用の依頼が不調に終わることはいくつか問題があると明示しています。 一つは雇用安定措置の趣旨に反するおそれがあるという点です。もう一つは実質的に労働者派遣法第33条第2項に違反することにもなり得るという点です。労働者派遣法第33条第2項では次のように記載しています。

労働者派遣法第33条第2項
派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者に係る派遣先である者又は派遣先となろうとする者との間で、正当な理由がなく、その者が当該派遣労働者を当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用することを禁ずる旨の契約を締結してはならない。



紹介手数料を支払わなくてもいいとも言い切れない

紛争特別措置の存在

では雇用安定措置による派遣先への直接雇用の依頼において、派遣先は紹介手数料を支払わなくてはいいのかというと必ずしもそうとは言い切れません。それはどういうことかというと「紛争防止措置」というものがあるからです。

この紛争防止措置に関しては2016年5月30日に厚生労働省のHP上で発表されています。以下は該当URLです。Q11の部分に紛争防止措置について記載されています。

平成27年9月30日施行の改正労働者派遣法に関するQ&A[第3集]

Q11: 「派遣先が、派遣契約期間中または契約終了後に、派遣労働者を直接雇用することとなった場合に、派遣先から派遣元事業主に一定の金額を支払う」旨を規定し、労働者派遣法施行規則第22条第4号の紛争防止措置として派遣契約に定めることに問題はないか。

A11: 派遣先が派遣労働者に対して直接労働契約の申込みを行った場合に派遣元事業主と派遣先との間で設問のような金銭を受け取ることは労働者派遣法第33条第2項や、労働基準法第6条に抵触する可能性があり、問題である。

なお、派遣元事業主が、有料職業紹介事業の許可を有していれば、職業紹介手数料として徴収することは可能である。

ここでも契約終了後に直接雇用する場合に、一定の金額を支払うことは労働者派遣法第33条第2項と労働基準法第6条に抵触する可能性があると記載しています。労働基準法第6条の内容は以下の通りです。

労働基準法第6条
何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

ただし続く文で有料職業紹介事業の許可を有していれば、職業紹介手数料として徴収することは可能であるとも記載しています。


どちらかわからない

2018年10月19日に発表の「改正労働者派遣法に関するQ&A」では、職業紹介ではなく、手数料を支払う義務はないとしていながら、紛争防止措置では職業紹介手数料を徴収することは可能だと相反する記載が見られるわけです。

ちなみに改正労働者派遣法に関するQ&Aでは紛争防止措置についての記述はありません。Q&Aの中で紛争防止措置などがあっても、手数料の徴収は認められないなどの記載があればはっきりするのですが、現状ではそうした記載は見られないので、どちらなのかがわかりません。

厚生労働省が紛争防止措置についてはどのように取り扱っていくのか、今後の対応が待たれます。


紛争防止措置での手数料の徴収も不可となった場合

もし仮に紛争防止措置での紹介手数料の徴収も不可となった場合、派遣会社は派遣社員を有期契約から無機契約に転換していくことが予想されます。有期雇用契約では派遣先での勤務期間中は派遣会社と雇用契約が発生しますが、派遣先での勤務期間が終われば次の派遣先への勤務までは雇用契約は発生しません。

一方で無期雇用契約であれば派遣先での3年の勤務が終わっても、派遣会社との雇用契約は続くので、「労働者派遣法第33条第2項」にも抵触しなくなります。結果3年勤務の派遣社員への雇用安定措置の対象外となり、派遣先に直雇用の依頼をする義務もなくなるわけです。

派遣会社からすれば、派遣社員の労働は会社の収益の支えであり、3年の派遣勤務ののち、紹介手数料などの何の見返りもなく派遣先に移られてしまっては収益源をみすみす失ってしまうことになります。そうならないためにも有期契約から無期契約を進めていくことが予想されるというわけです。無期雇用派遣については無期雇用派遣とは、正社員との違いは?でも詳しく解説しています。




この記事を書いた人

kain

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公開日 2019/11/01






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