同じ派遣会社での空白期間が1か月を超えると有給休暇が消滅する？

はじめに

派遣社員でも条件さえ満たせば有給休暇がもらうことができますが、継続して勤務していることが条件の一つです。もし次の派遣先が決まるまでに1か月を超える空白期間がある場合は、有給休暇が消滅してしまうので注意が必要です。

そこで今回は派遣社員が年次有給休暇を取得するための条件を解説し、なぜ空白期間が1か月を超えると有給休暇が消滅してしまうのかについて解説します。

はじめに
年次有給休暇の取得条件とその中身
1か月超の空白で有給休暇が消滅する理由
そもそもなんで1か月超なの？
まとめ

年次有給休暇の取得条件とその中身

派遣社員の有給休暇の取得条件

まず年次有給休暇は派遣社員であろうが、正社員であろうがアルバイトであろうが、次の条件を満たせば取得することができます。

・雇い入れの日から6ヶ月間継続して勤務していること
・全労働日の8割以上出勤していること

全労働日とは？

全労働日とは所定労働日数のことです。所定労働日数とは1年365日から会社で定められている休日を除いた日となります。休日がどのように設定されているかは労働条件通知書や雇用契約書の中身を確認してみるといいです。

所定労働日数の求め方

最初は半年、次からは1年単位で

有給休暇の取得条件の継続勤務は、最初は6か月で集計され、次からは1年単位で集計されます。

仕事の継続勤務と有給発生の時期

有給は何日分もらえるの？

有給休暇は最初は半日で集計され、条件を満たすことで10日間の有給休暇をもらえます。その後は1年ごとに集計され、年度を経過するごとに11日、12日、14日と有給休暇の日数が増えていき、最終的には上限の20日まで増加します。派遣社員の年次有給休暇については派遣社員の年次有給休暇の付与日数や取得条件についてでも詳しく解説しているので合わせて参考にしてみてください。

・一般労働者の付与日数

継続勤務日数	0.5年	1.5年	2.5年	3.5年	4.5年	5.5年	6.5年以上
付与日数	10日	11日	12日	14日	16日	18日	20日

1か月超の空白で有給休暇が消滅する理由

取得条件の継続勤務に抵触する

上でも述べましたが、年次有給休暇を取得するには6か月間の継続勤務が必要です。1か月を超えて派遣の空白期間が出てしまうと、この継続勤務に接触してしまうため、その結果年次有給休暇がしょめつしてしまうというわけです。

ちなみにこの1か月超（1か月と1日以上）という期間は.派遣会社ごとに異なり、1か月超のところもあれば3か月超のところもあるようです。ご自身の勤めている派遣会社がどのように期間を設定しているかは確認してみるといいでしょう。

有給休暇日数の増加がリセットされる

1か月超の空白期間のデメリットは、年次有給休暇が消滅するだけではありません。年次有給休暇というのは年を重ねるごとに、もらえる日数が増えていきます。せっかく多くもらえていた有給休暇が、空白期間により再び最初の10日分からに戻ってしまうのです。こちらも大きなデメリットの一つといえます。

そもそもなんで1か月超なの？

多くの派遣会社が年次有給休暇の消滅日数を1か月超としていますが、そもそもなぜ1か月超なのでしょうか。これには理由が考えられます。まず厚生労働省は基収140号により次のように説明しています。基収というのは厚生労働省労基局長が下部組織からの問い合わせの照会に答えたものです。要は厚生労働省労基局長の回答ということです。

ここでは競輪や競馬などの競走事業に従事する労働者が、継続勤務をしていると解釈できる事例として次の2つを上げています。

概ね毎月就労すべき日が存すること
雇用保険法に基づく日雇労働求職者給付金の支給を受ける等継続勤務を否定する事実が存しないこと

多くの派遣会社ではこの1番目の「概ね毎月就労すべき日が存すること」を、1か月で1日も就労すべき日がない場合は継続勤務ではないと解釈して、1か月超の空白期間で有給休暇が消滅すると設定していると推測されます。つまり何の根拠もなく1か月超と設定しているわけではないわけです。

まとめ

今回は派遣就労の1か月超の空白期間により年次有給休暇が消滅する件についてみていきました。年次有給休暇というのは派遣社員でも条件さえ満たせば貰えるものです。ですが派遣就労の場合は、次の就労までに空白期間ができることもあります。

この期間が1か月を超えてしまうと貰えるはずの有給休暇ももらえなくなり、さらにこれまで積み増してきた日数の増加もリセットされてしまいます。次の派遣就労までに空白期間を設ける場合でも、有給休暇を消滅させたくなければ、その期間が1か月を超えないように注意しましょう。

この記事を書いた人

kain