アルバイトの有給休暇の申請期限は何日前まで、前日、二日前、1週間前?
はじめに
アルバイトやパート従業員が有給休暇を申請する場合、その申請はいつまでに行う必要があるのでしょうか。この有給休暇の申請期限については実は法律等で定められているものではありません。各会社によって前日、2日前、1週間前、1か月前など様々です。就業規則などに記載されていることが多いので、確認してみるといいでしょう。
実際こうした就業規則に記載された有給休暇の申請期限というのは無条件で認められるものなのでしょうか。そこで今回は有給休暇の申請期限の日数の妥当性や合理性について詳しく見ていくことにします。
有給休暇と時季変更権について
年次有給休暇と時季変更権の説明
有給休暇の申請期限の日数の合理性についてみる前にまずは有給休暇とは何なのかについて解説します。また有給休暇を派遣社員が申請した場合、企業はその指定日を変更する権利も有しています。これを時季変更権といいます。この時季変更権についても詳しく解説します。
年次有給休暇とは
まずは年次有給休暇とは何かについて解説します。年次有給休暇とは継続して半年間勤務し、さらに所定労働時間の8割以上勤務にした場合に付与されるもので、有給休暇を使えばその間の給料は保証されます。継続勤務の期間は最初は半年ですが、それ以降は1年間で集計されます。
労働者側から有給休暇の取得の申請があった場合は、基本的には使用者側(企業側)はその申し出を断ることはできません。年次有給休暇については
アルバイト、パートの年次有給休暇の付与日数や取得条件についてでも詳しく解説しています。
時季変更権とは
アルバイトやパートが有給休暇の申請を申し出た場合、会社側はその指定日での代替要員の確保や勤務割の調整などを行い、正常な業務を維持するよう努めます。こうした対策を行うための十分な時間がない場合や、対策を講じたうえでなお対応しきれない場合に、会社はその指定日を変更することができます。これを時季変更権といいます。
労働基準法第39条第5項でも次のように記載されています。
労働基準法第39条第5項
使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
申請期限の妥当性を判断する基準
申請期限は人員確保の時間を考慮したもの
それでは話をアルバイト・パートの有給休暇の申請期限に戻しましょう。有給休暇の申請期限は会社が代替要員を確保するための時間を確保するもので、時季変更権の行使をなるべく抑止するために設けるものであれば合理的だと判断されます。
人員確保にかかる期間は各企業で異なる
では申請期限の日数はどの程度が妥当なのでしょうか。これは各企業により異なります。例えば専門性の人材で、変わりとなる人材の数も少ない場合は、代替要員の確保にかかる時間も長くなると想定されます。その場合は3日前といった申請期限も妥当だといえます。一方あるラインでは欠員が出たとしてもすぐにかわりに職長等が入ることで穴埋めできる場合には、前日または当日での申請期限でも妥当だと考えられます。
なお各企業では突発的な人員不足なども想定して、少し長めに人員確保のための時間を設定し、有給休暇の申込期限も少し長めに設定しています。
一般的には有給休暇の申請期限は前日から、2,3日前が多く、長くても1週間前といった企業が多いようです。
ちなみに申請期限については次のような要素を考慮して判断されます。
- その事業の規模・業務内容
- 当該労働者の職務内容
- 繁忙度
- 代替要員確保の困難度
- 代替による事業への影響の程度
- 休暇期間の長短など
前日って何時から?
ちなみにアルバイトやパートの有給休暇の申請期限が前日だった場合、何時までが前日扱いとなるのでしょうか。労働基準法では暦日(0時から24時)を基本としています。したがって仮に始業時間が8時だったとして、7時に連絡したとしても、すでに夜の24時は過ぎてしまっています。なので前日ではなく当日扱いとなります。
2週間前、3週間前の申請期限の設定は?
企業の中には申請期限をシフトの決定に合わせて1週間前、2週間前、3週間前としているところも少なくありません。この場合1週間ならまだしも2週間前、3週間前をシフトに合わせて決めているのであれば問題があるといえます。
それはシフトが決まった後であっても代替要員の確保に努めることは可能だからです。シフトが決まった後での代替要員の確保のしやすさなどを考慮して、申請期限を決めるべきだといえます。
有給休暇の当日申請は?
アルバイトやパートからの有給休暇の申請があった場合、企業側は正常な業務を維持するために代替人員の確保などに動きます。しかしながら有給休暇の申請が当日だとその対応に割くための時間が十分にはないため、基本的には企業側は時季変更権を使って拒否することができます。企業によっては有給休暇の当日申請を認めているところもありますが、あくまで温情処置です。詳しくは
アルバイトが有給休暇を当日申請して欠勤を回避することは可能か?で解説しています。
長期の連続休暇を取得する場合は?
有給休暇の取得が1日など短日ではなく、連続で長期間にわたる場合は、会社側としても代替要員の確保により時間がかかる可能性があります。そのため会社側が連続での有給休暇を申請する場合は、より早く申請をすることを求めたとしても、そこには一定の合理性があると考えられます。
この記事を書いた人
kain
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