パート、アルバイトとは、意味と違いを語源から解説
はじめに
アルバイトとパートについてどちらも同じ意味なのか、それともそれぞれで意味は異なるのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。そこでここではアルバイトとパートの意味や違いについて詳しく見ていくことにします。
まずはアルバイトとパートの意味について見ていき、それぞれの従事者の傾向や勤務期間、勤務時間の違いなどを見ていきます。さらにアルバイトとパートの語源から、それぞれの意味する範囲の違いなども見ていくことにします。それから国内のアルバイトとパートの比率や、アルバイトやパートに従事する際に注意する点、パートタイム労働者への法整備の現状などについても取り上げます。
パート、アルバイトとは
パート、アルバイトの意味
パートやアルバイトは法的には、パートタイム労働法によって「1週間の所定労働時間が同じ事業所の通常の労働者(正社員)よりも短いもの、又はその事業所の一般労働者と1日の所定労働時間が同じでも1週の所定労働日数が少ない者」と定められています。パート・アルバイトはそれぞれ個別に定義されているわけではなく、どちらも法律では「パートタイム労働者」とひとくくりにされています。
また「嘱託・しょくたく」「契約社員」「臨時社員」「準社員」など呼び名が異なっていても上記条件に当てはまればパートタイム労働者に含まれます。しかし実際にはパートとアルバイトはすこしニュアンスが違いがあるようです。
パートタイム労働法とは
パートタイム労働法「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」は、平成5年12月にパートタイム労働者の福祉の向上をはかることを目的に施行されました。
同種の業務に正社員がいない場合
同種の業務に従事する労働者に正社員がいない場合は、フルタイムで基幹的な働き方をしている労働者が通常の労働者になります。基幹的とは中心的、重要な役割をになう労働者のことで、こうした労働者の一週間の所定労働時間よりも短ければパートタイム労働者になります。もしフルタイムの基幹的な労働者もいない場合は事業所で一週間の所定労働時間が最も長い人が通常の労働者になります。
パートとアルバイトの違い
パートの特徴
まずパートの特徴ですが、雇用形態が異なる、労働時間が正社員よりも短いという以外は比較的正社員とちかい業務をおこないます。子育てや家事、介護をするため、フルタイムでの従事が難しい主婦のための働き方として広まったものです。子育てがおちついて手のあいた主婦が、社会復帰するという形で従事するケースも多いです。労働期間も比較的長期にわたることが多く、勤務態度も正社員と同じくおおむねまじめなようです。
アルバイトの特徴
次にアルバイトの特徴ですが、本業がメインにあってそれとは別に副業としてやるといった形が多いようです。学業や本職などを抱えた方が副業的に臨時的にやるといったような具合です。高校生や大学生、フリーターなどを対象としている場合が多く、学校卒業後や就職決定後にやめるケースが多いようです。そのため労働期間もパートに比べ比較的短く、1日や1週間などのケースも少なくありません。職種もパートとは異なり正社員の好まない仕事や、深夜の仕事などもわりと多いです。就労期間が短期のケースが多いので、専門的ノウハウの必要な仕事は少ないです。
パートとアルバイトの違い
| パート | アルバイト |
従事者の傾向 | 主婦など | 学生、フリーターなど
|
フルタイムが難しい理由 | 子育て、家事、介護など | 学業、本業など
|
勤務期間 | 比較的長期に渡る | 比較的短い
|
パート、アルバイトの語源
パートの語源
パートはパートタイムともいい、英語のパートタイムジョブ(part-time job) を語源にしています。所定時間に対して一部(part)の時間(time)働く雇用形態をパートタイムジョブといいます。
アルバイトの語源
アルバイトとはもともとドイツ語で働くという意味を表すarbeitという言葉に由来します。明治時代に学生が学業の傍らに従事していた労働のことをアルバイトと呼称したのがはじまりで、いまでは広く一般に使われています。もともとの成り立ちが学生の副業であったため、現在でもアルバイトといえば学生の副業、一時的な副業というイメージが大きいようです。
アルバイトの本来の意味
ちなみにドイツ語のarbeitには仕事、労働、研究といった意味はありますが、短時間労働という意味は含まれていません。ドイツ語で短時間労働を意味する言葉は英語からの外来語である「job」になります。しかしながら日本では一時的な労働、学生の副業という本来のarbeitにはない意味合いで使われています。
なぜそのようなことになったのかというと、当時の学生(旧制高等学校の生徒)たちが、仲間内だけに通じる隠語として外来語を頻繁に使っていたことに起因しています。例えば現在でもつかわれている「ゲットする」という言葉を当時の学生たちは同じような意味で使っていました。
同様にして学業の傍らの自分たちの副業(多くは家庭教師)のことも、単に仕事に行くとはいわずに格好つけてドイツ語を使ってアルバイトにいくといったわけです。その後アルバイトは日本では本来の意味の仕事・労働ではなく、一時的な仕事、学生の副業という意味で定着していきました。
短時間労働者を意味する言葉
日本 | アルバイト、パート |
ドイツ | job |
アメリカ | part time job |
パートとアルバイトの関係図
パートとアルバイトの違いを図にすると以下のようになります。パートは短時間労働全体を指す言葉であり、そのうちの学生の副業、一時的な副業をアルバイトもしくはパートと分類することができます。つまりアルバイトはパートの中の一部といえるわけです。
どう呼ぶかは雇用する側の自由
パートやアルバイトという名称は一般に定まった定義はないため、どう呼ぶかは企業側の裁量に任されています。つまり学生やフリーターを対象に比較的短期的な労働の補充を目的に求人をする場合にアルバイトと呼ばずにパートと銘打って求人を募集することも可能です。また逆に主婦を対象に業務内容も正社員とそれほど差がなく、長く働いてくれる人を募集する場合にもその求人をアルバイトと呼称して募集することも可能です。傾向としては上記の一般的な分類に沿って名称が使い分けられていることが多いようですが、かならずしもアルバイトとパートが厳密に使い分けられているわけではないということです。
パート・アルバイトと契約社員の違い
どちらも有期雇用契約の非正規雇用
パートやアルバイトと契約社員はどちらも有期契約社員で非正規雇用であり、そういう意味ではどちらも同じです。一般に正規雇用とは無期雇用契約に基づくものを指し、契約期間が決められている有期契約は非正規雇用となります。しかしながらパートやアルバイトと契約社員では給与体系や勤務日数、勤務時間、社会保険などの面で違いがみられることが多いようです。
給与体系、社会保険、勤務日数の違い
まず契約社員の場合は給与体系が時給制ではなく日給制、月給制であることが多いです。また社会保険なども加入する場合が多いです。また勤務時間や、勤務日数などのシフトも正社員と同様フルタイムで働くことを求められることが多いです。給与体系、社会保険、勤務日数のこの3つが契約社員とパート・アルバイトの主な違いだといえます。
パート、アルバイトと契約社員の違い
| パート、アルバイト | 契約社員 |
給与の傾向 | 時給制が多い | 日給制、月給制が多い
|
社会保険への加入 | まちまち | 加入する場合が多い
|
シフト | 短時間労働 | フルタイムが多い
|
就労数と年齢層の割合、男女比について
就労数と年齢層の割合
パートやアルバイトは実際どの程度就労しているのでしょうか。厚生労働省のホームページ内の以下のURLでパートやアルバイトの労働人口を確認できます。
「非正規雇用」の現状と課題
平成28年度のデータでは正規と非正規の合計が5391万人で、そのうちパートが988万人、アルバイトが415万人となっています。なおパートとアルバイトの分類は雇う側がなんと呼称しているかによります。アルバイトよりもパートのほうが雇用者数は多いようです。上記のURLでは非正規雇用の年齢別の内訳も掲載されています。最も多いのが55歳から64歳で415万人(20.5%)で、ついで多いのが45歳から54歳の400万人(19.8%)、35歳から44歳の386万人(19.1%)です。65歳以上でも301万人(14.9)の労働者が非正規雇用に従事しています。
男女比について
また男女比については5年ごとに集計されているパートタイム労働者総合実態調査で確認できます。
就業形態、性別労働者の状況
パート全体のうち男性は25.9%で女性は74.1%となっています。パートの割合は女性のほうがかなり多いことがわかります。
契約時に確認しておきたい項目
アルバイトやパートとして雇用契約を結ぶ場合は事業主は労働基準法とパートタイム労働法で定められた項目に関して文書などで明示する義務があり、違反すると労働基準法では30万円以下の罰金が、パートタイム労働法では10万円以下の罰金が課されます。各法律での明示義務のある項目は以下の通りです。
法律 | 明示項目 |
労働基準法 | 契約期間
有期労働契約を更新する場合の基準 仕事をする場所と仕事の内容 始業・終業の時刻や所定時間外労働の有無 休憩・休日・休暇 賃金 退職に関する事項 |
パートタイム労働法 | 昇給の有無 退職手当の有無 賞与の有無 相談窓口 |
アルバイトやパート労働者は労働基準法だけでなくパートタイム労働法でも条件項目の明示が定められていて、昇給や賞与、退職手当などがあるのかどうかはどれも気になるところだと思います。事業所には明示義務があるので契約の際にしっかりと確認しておくといいでしょう。
パートタイム労働法の改正
正社員との差別的取り扱い禁止の条件改善
2015年(平成27年)4月1日にパートタイム労働法が改正されました。主な改正点のひとつが正社員との差別的取扱いが禁止される範囲の拡大です。条件に当てはまる場合は差別的取扱いをしてはいけないという範囲がより広がって、該当する人が増えるというというもので、パートタイム労働者の雇用条件の改善を進めるための改正であるといえます。これまでは次の3つの条件に該当する場合、正社員との差別的取扱いが禁止されてきました。
(1) 職務内容が正社員と同一
(2) 人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一
(3) 無期労働契約を締結しているパートタイム労働者であること
今回の改正で(3)が条件からはずされました。つまり有期労働契約を締結しているパートタイム労働者であっても正社員との差別的取扱いをしてはならないということになったわけです。他にも雇用条件を改善する際の説明の義務や正社員との待遇を相違させる場合は不合理なものであってはならないといった規定、パートタイム労働者からの相談に適切に対応していくための体制の整備の義務といった規定も設けられています。
5年の反復更新で無期雇用へ
今回の改正ではさらに有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、有期契約労働者(契約社員、パートタイマー、アルバイトなど)からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるというルールが設けられました。
これによりパートやアルバイト、契約社員でも反復更新で5年が過ぎれば会社に無期雇用を申請することができます。この場合会社側は断ることはできません。対象は2013年4月1日以後の労働からなので、実際に適用されるのは2018年4月1日以降となります。詳しくは
アルバイト・パートの無期労働契約、正社員との違いは?でも解説しています。
まとめ
今回はアルバイトとパートの意味や違いについて詳しく見ていきました。どちらも短時間労働者で、パートタイム労働法では同じ扱いとなりますが、実際にはその意味する範囲はことなります。パートは短時間労働者全体を指すのに対し、アルバイトはさらにそこから臨時的な副業的なという少し範囲を狭めたものとなります。
従事する労働者もパートでは主婦などが多く、アルバイトでは学生などが多いです。勤務期間もパートが比較的長期なのに対し、アルバイトは比較的短期なものが多いです。両者にはこのような違いがみられます。主婦でパートを探している方にお勧めのパート求人サイトについては
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この記事を書いた人
kain
お仕事広場の管理人のkainです。2003年より当サイトを運営。長い運営実績をもとに、就職転職サイト、派遣サイト、アルバイトサイトのおすすめや仕事に関する疑問、悩みについての記事を多数執筆。
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